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勝利の方程式

  • 5月19日
  • 読了時間: 4分

更新日:5月19日

C紅チーム、深川春季大会 準決勝 vs 元加賀さん


準決勝の前日。監督・コーチは、自分たちの問題を振り返っていた。

課題は二つあった。まず立ち上がりの失点。そして、負けているときのベンチの空気。前半にリードを許すと、口調が強くなり、細かい指摘が飛び交う。誰か一人に向けた言葉が、その選手だけでなく、全員を萎縮させる。選手のリズムが乱れ、本来の力が出せなくなる。粘り強さは持っていても、力を出し切れずに敗れる試合があった。

問題は、選手の力ではなく、コーチ側に。そのため、監督は解決策を「ずっと盛り上がるベンチ」と決めた。怒鳴らない。細かく指摘しない。間違いを責めない。ベンチコーチも選手も、ずっと盛り上がるムードをつくる。監督がその先頭に立つ。



迎えた当日、まさかの事態

試合はいきなりハプニングから始まる。予告先発していた投手が、緊張のあまり朝から体調を崩してしまった。大事な試合で初先発。朝食も満足に取れないまま、プレーボールの直前までベンチでうずくまっていた。 そうか。子供たちもそれだけの重圧を背負って、この舞台に立っているのだ。 「大丈夫、やれる!」背中をさすりながら送り出した。


盛り上げる前に、選手から火がつく

先攻ファイターズ。1番が三振に倒れるも、2番がフォアボールで出塁し二塁へ。ここから3番・4番が長打を連発し2点を先制。キャプテンらを中心に選手自らチームを鼓舞し、さらに追加点。初回だけで4点を奪い、選手も応援も大爆発した。狙って盛り上げるより先に、グラウンドの中から着火した。



逃げずにマウンドに立った初先発

4点のリードをもらった先発投手は、それでも不安げにマウンドへ向かった。しかし、先頭打者をフライアウトに打ち取った瞬間、歓声が湧く。体調を崩し、不安を抱えたまま、それでもこの舞台から逃げなかった。しっかりアウトを取った。それだけで十分、誇らしかった。


その後、失点を許しワンアウト満塁のピンチ。周りから届いたのは「オッケー、オッケー、大丈夫!」の声だった。その声を受け止めつつ、監督はエースを投入。エースは6番打者を三振に仕留め、突っ込んできた三塁走者をキャッチャーがホームでタッチアウト。ダブルプレーで最少失点を守り切った。ベンチの声と選手のプレーが、ひとつになった瞬間だった。


内野が躍動し、チームがひとつになり燃えた

2回裏、エラーで出塁を許したものの、ファーストゴロの間に三塁を狙った走者をサードへの好送球でタッチアウト。またしてもダブルプレー。好プレーが生まれるたびにベンチの声が大きくなり、その声がまた次のプレーを引き出す。フィールドとベンチが、互いに盛り上がっていた。


準備してきた采配が、流れを渡さなかった

3回裏、ヒットで失点を許しツーアウト二点差。三塁走者が三盗を決め、さらなるピンチ。カウントはツーボール・ワンストライク。これ以上の失点を許したくない。そこで監督はエースからクローザーへの交代を冷静に采配した。


この状況は、予想され対策されていたもの。この場面が来たらすぐ変えられるように、3枚目の登板をベンチワークでしっかり準備していた。クローザーはきっちり三振でピンチを脱出。采配ずばり。 盛り上がるベンチ、準備された采配、選手の好プレー。勝利の方程式が揃った。



方程式に主軸が答え、いつも通りのプレーで勝利

4回表、3番がスリーベース。4番は申告敬遠を選ばれるも、相手に乱れが生じ、6番のライト前ヒットなどこの回3点を追加。盛り上がり続けるベンチを背に、選手たちは自分たちの野球を最後まで貫いた。 時間を迎えた最終回。前の回から続きクローザーがしっかり抑え、ゲームセット。 ファイターズ、勝利。決勝への扉をこじ開けた。


試合は、選手たちの練習の成果を披露する発表会だ。発表会で、選手の苦手は修正できないし、その場で急に上手くならない。試合に必要なのは、ずっと盛り上がるベンチ、事前にしっかり準備された采配、普段からやれることを当たり前にした結果うまれる好プレー、その掛け算だ。ファイターズは、勝利の方程式をもって、いざ決勝戦に挑む。

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